脳ドックではMRIとMRAと呼ばれる体に負担の少ない検査が中心となります。
MRIは主に脳の形の変化と脳組織の水分の変化を見ることが出来、5ミリ以上の病巣の発見が可能です。
MRAは脳の血管を映す検査で血管の動脈瘤や脳梗塞の状態を調べることができます。
他にも頚動脈の狭窄(きょうさく)を調べる超音波検査や血液検査、脳梗塞の原因の一つである不整脈を見つける心電図検査などを組み合わせて行われます。
[脳ドックで発見される病気]
脳ドックで最も良く発見される病気に【脳梗塞】があります。脳ドックを受ける段階では脳梗塞があっても症状が無く【無症候性脳梗塞】と呼ばれ、脳ドック受診者の15%程度の発生率になります。
傾向として60歳あたりから増加して70歳代では20〜30%の発生になってきます。
無症候性脳梗塞はその段階では何も症状が無く健康な人と変わらない生活を送っていますが、健康な人にくらべ約9倍も脳梗塞になりやすく、脳卒中予備軍とも言えます。
この段階で薬による治療を行えば脳梗塞にならないよう予防できますので、脳ドックを受ける価値があり、また脳ドックを受ける時期が良かったともいえるでしょう。
[脳出血と脳ドック]
脳ドックのMRAで脳内の血管を調べると、100人に1人程度まだ破裂していない動脈瘤が見つかることがあります。
脳動脈瘤の恐ろしいところは、破裂するとくも膜下出血になりますので命の危険につながります。
脳動脈瘤を取り除くには外科手術が有効な手立てですが、単純に取ればよいというものではありません。
脳は神経細胞の集まりですので、手術によって手足のマヒや言語障害など様々な後遺症のリスクがあります。
また脳動脈瘤は必ず破裂するというモノでは無く一生そのままの状態を保ち続ける動脈瘤もあります。
[脳動脈瘤の手術]
脳動脈瘤の手術は
・リスクを取って手術をしたほうが良いのか
・動脈瘤をそのままにしておくほうが良いのか
両てんびんにかけて判断が下されます。
手術の後遺症として
・手足のマヒ、言語障害
など日常生活に支障をきたすような後遺症が残る場合は全体の4〜5%で、後遺症(合併症)の残る確立は動脈瘤の部位と大きさ、年齢によって変わってきます。
未破裂動脈瘤が1年間で破裂する確立は1%弱(0.7%)といわれています。1%と聞くと少ないように思いますが、この数字に余命をかけて計算するとそのリスクは大きくなるのがわかります。
平均余命が80歳とすると50歳で未破裂動脈瘤が発見された場合、80歳までに動脈瘤が破裂する確立は30%にもなってしまうのです。
[脳ドックを受けたばかりに・・・]
脳動脈瘤の手術は確率的に言えば若いほど手術したほうが良い、というのが一般的な医師側の考え方です。
しかし患者側から考えると
・手術後の後遺症のリスク
・手術しない場合の余命発症率の心理的不安
これは確率論ではなく患者にしてみれば、0か100かの問題なのです。また病気になる前の予防的手術でここまでのリスクと不安を抱え込まなければならないのも脳ドックを受けるという事の現実なのです。
脳ドックばかりでなく人間ドックでも同じことが言えます。検査を受けたことで病気の早期発見ができるメリットと、病気があっても検査を受けずに発症しないまま天寿を全うする人生と・・・
医療が発達したことによるパラドックス、ジレンマとも言えます。
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